カテゴリ:CD( 39 )


c0033501_11323189.jpg音楽は、西欧近代において平均律十二音階という概念が確率したわけだが、それと引き換えに微妙なナニかを失ったようだ。文明進化の功罪を今更述べる気はないが、日頃慣れ親しんだ西洋音楽を拒否したい想いにたまにかられる。

民俗音楽といっても玉石混淆ではあるが、加工されていない現地のライヴ録音、とりわけインドネシアのガムラン、アフリカのピグミー族の音楽、アラブやトルコの古典音楽などを聴く。
それぞれの背景を追求するほどのめり込んでいるわけではないが、聴くと脳神経を消毒されたような心地よさを覚える。

コウモリは高周波の超音波で鳴き合い“会話”をしているそうで、人にそれは聞こえない。その人間が認識不可能な高周波が、これらの天然アナログ音楽には豊かに含まれているそうだ。

高周波そのものは人間に聞こえないにしても、ある種の民俗音楽に内包されているのであれば、“聞こえている音楽”にも、なんらかの波及が当然あるのだろう。
しかし、あとから思いをめぐらしているだけで、はっきりと意識など出来ない。ましてやCD音源は、割り切ったデジタル音質だから物理的にもムリなハナシなのだが…。

脳神経を消毒されたような心地よさ-の分析研究はそのスジの専門家にまかせて、あとから確認すればよい。


◆聴いている音楽
・Archives de la musique turque(1)~オスマン・トルコの栄光(1905-1935)
・Archives de la musique Arabe-Vol.1~大いなる遺産アラブ(1847-1968)
・密林のポリフォニー/イトゥリ森ピグミーの音楽(VICTOR CD ETHNIC SERIES)
・神々の森のケチャ/バリ島シンガパトゥ村の合唱劇(VICTOR CD ETHNIC SERIES)
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by bongokid | 2005-04-09 11:33 | CD

“駆け落ち”という言葉に、みなさんはどのようなイメージを持つのだろうか?
矢切の渡し?逃避行?お先真っ暗?非現実的? いやいや、全然湿っぽいイメージは無いんだな。わくわくする。

c0033501_0342996.jpg駆け落ちソングとして大好きなのは、70年代初めのP・マッカートニーのソロ『RAM』の最後の曲「Back Seat of My Car」で"We believe that we can't be wrong"と絶叫が繰り返される。いつもこの部分にくるとグッ!ときて、いっしょに絶叫してしまった。で、これで終わるのかと思いきや、それまでの切なさを笑いとばすかのように、マッカートニー流の素っ頓狂なフェイクがエンディングに入る。昔は、ここで興ざめてしまうので始まる直前にレコードの針を上げていた。しかし四十を過ぎるとそのフェイクがわかるようになり、むしろある種の冷めた余韻を感じる。未だにたまに聴く。

アルバム自体も、ひとつの映画を観ているような、押し付けがましくない独特な流れがあり、マッカートニー信者でなくとも(おそらく)好きになれる。



※最近の再発CDはボーナストラックが入っていて得なのだが、オリジナルのせっかくの流れにそぐわなかったりで、一長一短だ。
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by bongokid | 2005-04-01 00:36 | CD

"Without You"という曲名で検索するとウェブにはたくさんの紹介ページがあって、わざわざ書くこともないかとも思ったが、とりあえず個人的な回想を。

最近ではホール&オーツがカバーしている。古くはニルソンで大ヒット。ちょっと前だとマイケル・ボルトンやマライア・キャリー。で、どのテイクが最高かっていえば、間違いなくオリジナルのバッドフィンガーのもの。
ストリングスも入っておらず、甘さを抑えたスタジオライブ風のラフなバンドサウンド。
サビの「キャンリヴ」のリヴの“リ”を伸ばさなかったり。経過音のベースラインが他のものとは異なったり。ヘンに女々しくない歌。無骨なコーラスワークやシャウト。ロック的。音のたたずまいはひょっとしたらビートルズの「ヘイ・ジュード」を意識しているかも。

c0033501_21422254.jpgこれは最初シングル盤のB面だった。1970年発売当時、深夜ラジオで流れていたのを数度聴いただけ。なんとなく躊躇していたらいつのまにか廃盤。収録アルバム「ノー・ダイス」も長期に渡って廃盤状態が続いた。もちろん、元々B面だしラジオでもかからず。記憶だけが残る。(今ではオリジナルアルバムがCDで発売されていて容易に手に入るが。)

廃盤状態が続く中で、我慢出来ずにブートレグCDに手を出したのが1990年代前半くらい。CDタイトルが「If you want it...」という、違法コピーで代表LP3枚分をまるごと収録したCD二枚組。ぼったくり価格でレコード落としの音質ながら、約20年後にやっと聴けた喜びは格別だった。


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by bongokid | 2005-03-29 21:46 | CD

c0033501_21374683.jpgディープなソウルミュージックを聴き始めたのは1977年くらいで、O.V.ライトのLP「イントゥ・サムシング」をリアルタイムで聴いたのが最初だった。これを聴いて心が打ち震えてしまったのだった。(それ以前にはアル・グリーンの“レッツ・ステイ・トゥゲザー”をヒット曲として好きだった程度)
その後、サザンソウルを中心にいろいろ聴いていたのだが、大のお気に入りをあと三枚挙げるとしたら、、、
■オーティス・クレイの「ライヴ」=初来日時の二枚組み大傑作c0033501_1342241.jpg
■オーティス・レディングの「ライヴ・アット・モンタレーポップフェスティバル」
そしてそして、■サム・クックの「ライヴ・アット・ハーレムスクエアクラブ1963」ということになる。

“ライヴを代表作として挙げるのは邪道”という考え方もあるらしいが、そんなのは無視しよう。別にその筋の研究家でもなんでもないしね。

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by bongokid | 2005-03-19 00:34 | CD

c0033501_094684.jpgPhil Spectorは1960年代に活躍した音楽プロデューサーで、あとでビートルズの「Let it be」なども手がけているポップス界の大御所。

クリスマスアルバムは星の数ほど世に出ているであろうが、bongokidが知っている中でいちばん好きなのは間違いなくこれだ。(HMV
というか、クリスマスアルバムの中ではおそらく最高傑作-と言い切ってしまおう!
LPとして発売されたのは1963年。当時のポピュラーミュージックの世界はシングル盤が中心だったわけで、このアルバムはプロデューサーの名前を全面に出したコンセプトアルバムとしてのまさに先駆けでもあったのだ。

13曲中、11番目に登場する(スピルバーグの映画「グレムリン」の冒頭でも流れている)Christmas(Baby Please Come Home)という曲は、このアルバム中でも最高の曲。部屋で何回踊りながらいっしょに唄ったことだろう。笑いながら涙が出てくるほど好きな曲だ。Darlen Loveという女性歌手の歌唱がまたとんでもなくソウルフル!!! クゥ~~~~~~~

なぜこのアルバムが良いのか、説明することはなかなか難しい。説明すればするほど音楽を文字にする虚しさがわいてくる。

ただひとつだけ言えるのは、屈折して屈折して屈折して屈折してしまい、気がついたらマトモだった-そんな音楽、ということだ。大瀧詠一氏曰く“人工美のリアリティ”。

モノラル録音の夢のような音像。
そして、まずあり得ないであろう夢のような世界。

しかし、目の前に確実に広がる描写はリアルなリアルなリアルな世界。
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by bongokid | 2005-03-10 00:10 | CD

この曲のコード進行(ロック系ではゲイリー・ムーアやサンタナが得意としている)は、音楽やっている人ならば、泣き節が作りやすく、ついニヤッとしてしまうところがあるだろう。

いわゆるJazzの「枯葉」は、マイルスの〈イン・ヨーロッパ〉、〈イン・ベルリン〉、〈プラグドニッケル・コンプリート〉、キャノンボール・アダレイの〈サムシングエルス〉、ビル・エバンストリオなどを聴いたことがあり、気づいたことがある。 というか、個人的な思い込みなのだが。

Autumn Leavesという言葉のシンボリックなイメージ…。

つまり、
【枝から落ちた枯れた葉っぱは、風に任せてどこまでも飛び、舞っていくこともあるし、無風なら木々のまわりにハラハラと重なっていく】のだから、Jazz のアプローチでは(不滅のコード進行を軸にして)、アドリブプレイそのものの音のニュアンスが、そのまま枯れた葉の動きを表現させることがたやすい-というわけだ。

c0033501_0354499.jpgだからといって、奏者がどこまで枯れた葉のことを意識して演奏しているかはわからない(なにしろ原題はたんに「秋の葉っぱ」である)。聴く立場では、枯れた葉の空間移動をイメージしてみると、一段と味わいが深まるのではなかろうか。
演奏技術上の分析は別として、プラグドニッケルにおけるマイルス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、トニー・ウィリアムスなど、それぞれの“枯れた葉っぱ”の共振はたまらない。

いちばん遠くまで飛んでいくのがショーターの葉で、アフリカまでイッチャッている。そのとき、リズム隊もいっしょについて行くが…、

マイルスはそれをステージ横に引っ込んで、じっと見ている。

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by bongokid | 2005-02-18 22:18 | CD

c0033501_2246934.jpg「キャッチ・ア・ファイアー」のオリジナル・ジャマイカ版を聴いた。
没後20余年経過して発売されたもの。
オレにとって、これこそが“癒し”の音楽だ。とてつもなく“しなやか”な音像。空気感が日本とはまるで異なる。ノンリヴァーブで無駄な音は一切ない。乾ききっている。

で、ボブのボーカルだが、けして湿っぽくないが“濡れている”。湿ってはいないが濡れているのだ。
以前のオーヴァーダヴィングされた(ロックのニュアンスを加味した)正規版が悪いわけではない。あれが無かったら英米の市場ではだれも注目しなかったわけだし、当然自分は気に入っている。しかし、このジャマイカ版こそが間違いなく彼らの最高傑作。
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by bongokid | 2005-02-08 20:39 | CD

c0033501_140534.jpg1970年。リアルタイムで購入したLPレコードのなかに、一枚のライヴがある。
Elton John が、ブートレグ対策として仕方なく発売したらしいFM局でのスタジオライヴがそれだ。当時の彼は大スターというほどではなく、「Your Song」がそこそこヒットしたことも手伝って、イギリスのシンガーソングライターとして注目が集まってきた頃である。

このLPを買ったきっかけは、かまやつひろしが、「セイヤング」という深夜放送で紹介したからだ。そして、その音像にマイッテしまった。カッコヨカッタ!当時はただカッコイイと感じて購入したわけだが、後々何十回と聴くウチに、その理由がわかってきた。

なにせ、ギター中心の(いわゆる)ロックシーンにおいて、あえて?ピアノトリオである。しかもEltonは、ジェリーリー・ルイスばりに立ったままのプレイ。終始静かな曲は、一曲もない。オリジナルではしっとり聴かせていたものでさえ、時に荒々しく叫び、荒々しくピアノを鳴らす。

ドラム(NIGEL OLSSON)は、けしてハイテクではないが、ツボを押さえたダイナミックなノリを出している。ベース(DEE MURRAY)は、Eltonのピアノを下部で支えつつ、時に“ウーマントーン”でストリングスの役目をしたり、ピアノのフレーズの隙間を自由に飛び跳ねたり、自在である。なにしろ、どの楽器もよく“ウタっている”。そして肝心のボーカルだが、Eltonは言うに及ばず素晴らしく、他の二人もまんべんなくコーラスを加えている。

1970年といえば、ライヴをするのに仕込みテープをシンクロさせる技術は、もちろんまだない。
Elton はスタジオ盤においては、ポール・バックマスターなどを起用して分厚い音を作っていたが、それをそのまま再現することなど当時は全く不可能であるし、また考えもしなかったことだろう。

ピアノ、ベース、ドラムとその3人のコーラスだけで楽曲を再現し、しかも楽曲のクォリティを完全に保持し、表現することに成功しているわけだ。ギターもオルガンもストリングスも他のバックコーラスも入る余地のない、ピアノトリオのロックユニット。その神髄がコレなのである。

ただそれは、その時代が故の表現手段が成し得た、奇跡の音像であったのかもしれない。

追記: ベンフォールズ・ファイヴが出てきたとき、このアルバムをきっと参考にしているナ!とニヤッとしてしまった。
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by bongokid | 2005-02-03 23:25 | CD

c0033501_23282144.jpg1979年4月、確かにBob Marleyは日本にいた。それもオレの目の前に。唯一の日本公演、東京では渋谷公会堂と新宿厚生年金会館で行われた。
その当時は考えもしなかったが、翌年だったか翌々年だったかに帰らぬ人となった。

改めてアルバムの変遷をたどってみると、その頃はすでに全盛期ではない。
ワールドツアーの一環として来日したわけで、人生の最終節に入っていたことに本人は気づいていたのか、とにかく、出来るだけいろんな所へ行き、たくさんの人の前で演奏しようとしていた-のではないか?

故郷ジャマイカには滅多に帰らなかったらしい。

世界に向けてメセージを伝えたい一心だったようだが、演奏中観客のほうに一度も視線を向けなかった-と記憶している。歌っている最中は、自分に向かって歌っていたのだろう。

そのときの録音が、1996年に突然発表された。なんだか、あまりにも生々しくて、何度も聴く気になれない…。

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Bob Marleyは駆け足で人生を駆け抜けた。

バレッド兄弟の強靱なリズムにのり、憂いを帯びた声から発せられたメッセージは、どれをとっても、しなやかで、太く、重い。と同時に、ガンジャにもラスタファリズムにも縁のないオレにとっては、その距離感も自覚してしまう。

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お香が炊かれ、会場が煙で霞みがかかったところで、ライヴは始まった。一曲目は「Rastaman Vibration」、そして代表曲が休まず続く。最後の「Get Up Stand UP」~「Exodus」まで、ガンジャやラスタファリズムを知らなくても、オレはBobに合わせて歌詞を歌いながら、自然と高揚していった。

そして、あっという間の出来事だった。
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by bongokid | 2005-01-20 23:46 | CD