二人の夏 / 浜田省吾

この曲は、浜田省吾がソロデビュー前に在籍していたバンド“愛奴”の代表曲。あとになって浜田自身がソロ(浜田省吾 & The FUZE名義)で再録音している。

CDマキシシングル

曲調はビーチボーイズの「サーファーガール」やビートルズの「ジス・ボーイ」を下敷きにしていると思われる。コード進行はCmaj7 Am7 Dm7 G7の循環。 リズムはスローな6/8拍子。

淡白な愛奴バージョンを聴くと、夏に起こった恋を回想するロマンチッックでセンチメンタルな描写が心地よい。日本の歌謡曲ではザ・ワイルドワンズの「想い出の渚」あたりに近い世界。

比較的淡白な愛奴バージョンも悪くないが、再録音された浜田のソロバージョンはよりエモーショナルで桁違いに深い味わいがある。それは、、、苦みを伴ったネガティヴで冷静な浜田の想いが垣間見られるからだ。

浜田は別の曲で、若い頃の恋愛を“砂の城”に例えているが、彼の音楽世界の特徴のひとつでもあり、この「二人の夏」にも共通したものが感じ取れる。

つまり、一見甘味な世界を示しながらも、
「こんなことがあったらいいんだけど、現実にはそう簡単には起こらないものだ。たとえ似たようなことがあったとしても、それは都合良く解釈しているだけだ。あくまでも絵空事だよ。今となってみれば、とてもみすぼらしく、儚く、もろいものに映る。だからこそ、それだからこそ、、、ひとつの音楽世界として、この人工的なリアリズムを究めたい…」

そんな、極めて冷静で、かつ熱い想いが隠されているように思える。諦観を通過した上での深い叙情性-そんなかんじだ。思い起こせば、それはブライアン・ウイルソン(ビーチボーイズ)やフィル・スペクターの世界観でもあり、その影響下にあった浜田が自分なりに消化した結果でもあると思う。

曲の最後、“夢のかけら”という歌詞が何度も何度も繰り返される。
そう、「こんな脆弱で儚い恋は、まさしく“夢のかけら”でしかないんだよ。だからこそ“永遠”なんだよ」-と。

まさに、“夢のかけら”という表現こそ、この作品のキーワード。
自分の中では、浜田の再録バージョンのタイトルは“二人の夏”ではなく、“夢のかけら”なのだ。
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by bongokid | 2005-08-01 00:06 | CD